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【はじめてのNDA】秘密保持契約は何が違反?違反をするとどうなる?

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秘密保持契約(以下「NDA」)は、情報開示者または開示当事者・受領当事者双方が持つ秘密を守るために締結されるものです。では、NDAの違反とは、具体的にどのような行為のことを指すのでしょうか。また、契約当事者の一方がNDAに違反をするとどのような措置が取られるのでしょうか。

本記事では、NDAは何が違反行為にあたるのか、また違反をするとどうなるのかについて解説していきます。

秘密情報の範囲はNDAで定められる

NDAでは、まず秘密情報の定義とともに、秘密情報の範囲や目的などについて規定されます。

秘密情報にはどのような情報が含まれるのでしょうか。

秘密情報に含まれるもの

「秘密情報」とは、具体的にはNDA上で定義されることとなりますが、一般的には、情報の開示当事者が受領当事者に対して開示する情報で、開示当事者が特に秘密にしたいと考えている情報のことです。場合によっては、NDAの存在やその内容、および取引に関する協議・交渉の存在やその内容についても、「秘密情報」とされることがあります。

具体的には、以下のようなものが「秘密情報」になりうると考えられます。

 顧客名簿(名簿に掲載されている個人情報を含む)
 事業企画書
 製品の図面
 サンプル
 試作品
 仕様書
 技術情報など

秘密情報から除外されるもの

開示当事者から開示される情報であっても、「秘密情報」とみなされない情報も存在します。

一般的に、以下の情報は「秘密情報」には含まれないと定められることが多いです。

 受領当事者が情報を開示された時点ですでに公知であった情報
 受領当事者が情報を開示された後、受領当事者の責めに帰すべき事由によらずに公知
となった情報
 受領当事者が情報を開示された後、適法に第三者から入手した情報
 受領当事者が情報開示前に独自に開発した情報

たとえば、受領当事者に情報が開示された時点ですでに開示当事者のホームページに記載されていたり、新聞やマスコミによって報道されていたりすれば、その情報は「秘密情報」にはあたるとは言えません。また、情報の開示後、開示当事者が講師となって講演やセミナーなどで聴衆に向かってその秘密情報について話をしたときにも、「公知となった」とされ、秘密情報からは除外されます。

NDAではどんな行為が制限されるのか

次に、NDAを締結することでどのような行為が制限されるのかについて考えてみましょう。NDA違反となりうるため制限される可能性のある行為は、主に次の3つが考えられます。

秘密情報の複製

たとえば、複製が禁止されている情報を開示当事者の事前承諾なしに複製することは、NDA違反となり制限されます。また、複製だけでなく、秘密情報を改変・解析したりすることも禁じられる場合があります。

秘密情報の第三者への開示

自身のSNS・Blogなどにそれらの情報を書き込んで公表するのはもちろんのこと、異業種交流会やランチ会などで第三者に情報開示者の秘密情報や未公開の技術情報などの話をすることも、NDAで制限されます。

秘密情報の目的外使用

NDAにはたいていの場合目的が設定されています。そのため、例えば秘密情報の目的として「業務委託契約締結のための検討」との目的が定められている場合に、情報開示者から開示された技術情報を受領当事者が自社製品の研究開発のために使用するといったことは、秘密情報の目的外使用であるとして制限されることになります。

NDAに違反してしまったら

もし、NDAの規定に反するような行為を行ってしまった場合、違反者はどのような処遇を受けるのでしょうか。
NDAでは損害賠償について規定されている多くの場合、NDAでは「損害賠償」という条項の中で、以下のような文言が記載されています。

第×条(損害賠償)
甲および乙は、本契約に違反して、相手方の秘密情報を開示または漏洩した場合、相手方に対し、その損害(弁護士費用を含む)を賠償しなければならない。

民法では、「債務不履行によって通常生ずべき損害」や「当事者(債務者)がその事情を予見した(することができた)特別な事情によって生じた損害」が損害賠償の範囲に含まれると定められています。

契約書においては、損害賠償の範囲を限定するのか、それとも拡大するのかといった観点から、この民法の原則を修正することがあります。例えば、上記の文言例では、弁護士費用を含む分、民法の規定に比してやや損害賠償の範囲が拡大されています。

NDAに違反すると違約金・損害賠償請求、差止請求が行われる可能性が…!

受領当事者がNDAに違反し開示当事者が損害を負った場合、開示当事者が受領当事者に対して損害賠償請求を行うことが想定されます。また、秘密情報が不正競争防止法上の「営業秘密」に該当する場合、もしくは営業秘密にあたらなくともNDAの中で差止めに関する規定が設けられている場合は、開示当事者によって差止請求がなされる可能性もあります。

さらに、民事裁判実務においては、相手方の契約違反によって損害賠償請求を行う場合は、請求する側が契約違反によって受けた損害の事実やその程度について立証責任を負うことになります。しかし、「本当にNDAに違反したのかどうか」「NDA違反によって受けた損害はどの程度なのか」などを証明することは非常に困難です。

そこで、開示当事者としてはNDAの中で違約金や損害賠償金の金額をあらかじめ設定することも考慮に入れるべきでしょう。他方受領当事者としてはNDAに違反した場合は、契約の規定に基づきそれらの違約金・損害賠償金額を支払うことになりますので、違約金の定めを削除する等の交渉をすべきでしょう。
実際にどのような行為がNDA違反にあたるのかについては、判断が難しいこともあります。うっかり違反行為をしてしまうと、相手方から違約金や損害賠償金を請求されるおそれもありますので、自分が行おうとしている行為がNDA違反にあたるかどうかわからない場合は、弁護士などの専門家に事前に相談してみるとよいでしょう。

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