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秘密保持契約を結ぶときにフリーランスがチェックすべきポイントとは

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フリーランスがクライアントと契約を交わすときに、業務委託契約と同時に秘密保持契約(以下「NDA」)を締結するケースは珍しくありません。NDAを結ぶ場合は、主にクライアントが情報の開示当事者、フリーランスが情報の受領当事者と想定されることが一般的です。

そこで本記事では、主に情報を開示する立場となるクライアントが優位に立ちやすい内容と、主に情報を開示される立場になるフリーランスがチェックすべきポイントについて解説します。

秘密情報の範囲

NDAでは、まず秘密情報の範囲が設定されます。開示当事者であるクライアント側は情報漏洩リスクを避けるため、「書面・口頭などの方法を問わず、相手方に開示した本件業務にかかわるすべての情報」や「開示した情報及び知り得た情報」などのように、できるだけ広範囲に秘密情報の範囲を設定するケースが多くみられます。

一方、受領当事者であるフリーランス側としては、秘密にすべき情報の範囲はできるだけ狭いほうが望ましいといえるでしょう。そのため、フリーランス側からすれば、「相手方から秘密情報である旨表示して開示された情報(「社外秘」「Confidential」と表示された資料など)、口頭で示された情報であれば別途秘密情報であること、秘密情報の概要を書面で通知したもの」などと規定したほうが無難です。

また、秘密情報の規定の中に「〇〇に関する仕様書・マニュアルに記載された情報」「DVDやCDなどの媒体物・文書」などと具体的に列挙するのもよいでしょう。

秘密情報の第三者への開示

受領当事者が開示当事者から承諾を得て、顧問契約を結んでいる弁護士や税理士、コンサルタント、および再委託先などの第三者へ秘密情報を開示することが必要になるケースがあります。その場合、開示する側としては、自分が受領当事者と締結しているNDAと同程度の内容のNDAを、別途受領当事者と情報を提供する第三者で締結するように要請することがあります。

しかし、フリーランス側としては、過度な負担を避けるために、「当該第三者へ秘密情報の取り扱いについて十分な説明を行う」など、最低限行うべきことだけを記載するよう求めてもよいでしょう。
また、当初より開示が見込まれている専門家などが存在する場合は、開示が禁止される「第三者」からこれらの者を除外するよう求めることも考えられます。

秘密情報の破棄・返還

NDA締結の目的が達成された場合、もしくは不達成となることが確定した場合に備え、秘密情報の破棄もしくは返還に関する条項をNDAの中に盛り込むほうがよいとされています。
その際、クライアント側としては、契約期間中であるか否かにかかわらず、秘密情報の破棄もしくは返還を求めることができるようにしておきたいと考えるのが一般的です。しかし、フリーランス側は予想もしないタイミングで破棄もしくは返還を求められると、業務に支障をきたしてしまう可能性もゼロではありません。

そのため、秘密情報を破棄・返還するタイミングは、契約終了時またはNDAの目的となった取引が行われないことが確定した時点にしておくほうが賢明でしょう。

また、返還と破棄に関して、クライアントが証明書などを提出するよう求めることができるとする規定もみられるところです。それらの義務が過大な負担となるかについては、慎重に判断したほうがよいでしょう。

損害賠償

NDAでは、受領当事者が契約の定めに反して相手方の秘密情報を流出・漏洩してしまった場合に備えて、損害賠償の条項が設けられます。クライアント側としては、生じうる損害を限定せず、「本契約の違反に基づき発生した一切の損害(逸失利益、各種調査費用、弁護士費用その他専門家費用、人件費相当額を含む)を賠償しなければならない」といった規定を設けることが一般的です。

受領当事者としては、できる限り損害賠償責任の範囲を狭くするために、「直接かつ現実に生じた通常の損害(逸失利益、専門家費用、人件費相当額などを除く)の賠償をしなければならない」などといった文言にしておくことが望ましいと考えられます。

また、秘密情報の流出・漏洩による損害が起こった場合、損害が発生した事実や損害額を請求する側に立証責任がありますが、それらを立証することは難しいため、あらかじめ損害賠償額を定めておくことも考えられます。しかし、あまりにも高額な金額に設定されている場合は、民法上公序良俗に反し無効であるとみなされることにも留意しておく必要があるでしょう。そのような高額な違約金規定については、法的に無効となりうる可能性を根拠に、クライアント側に削除の交渉をするのが望ましいといえます。

有効期間

業務委託契約などと同様に、NDAでも有効期間が定められます。契約期間の始期は、契約締結時とすることが多いですが、契約締結時より前に秘密情報が開示されている場合は、当該情報の開示日にさかのぼって設定されることもあります。

契約期間の終期については、情報が陳腐化して利用価値がなくなるものと見込まれる時期を設定するのが一般的ではあります。しかし、契約期間終了後であっても秘密情報が流出・漏洩すると、クライアント側にとって不都合が生じる可能性もゼロではありません。そこで、クライアント側としては、契約期間終了後も「終了事由の如何を問わず、第〇条、第〇条の規定は、本契約終了後もなお効力を有するものとする。」というように、契約期間終了後も秘密保持を相手側に義務付けることが考えられます。

しかし、フリーランスの中には、契約期間終了後も半永久的に秘密保持義務を負うのは過度な負担であると考える人もいるでしょう。そこで、契約期間終了後もNDAの効力を持たせることを承諾する場合は、「契約期間終了後、〇年間は効力を有するものとする」などと期間を区切るよう交渉することをおすすめします。

NDAを結ぶときにはGVA NDAチェックで不利な条項をチェックしよう

NDAの中には、取引内容やクライアント・フリーランス間の力関係によって、フリーランス側に一方的にさまざまな義務を課す片務契約になっているものもあります。その場合は、GVA NDAチェックなどの契約書チェックツールを使って、フリーランス側に不利な文言になっていないかどうかを確認するようにしましょう。

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